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ポケットモンスター

かの吉良吉影はこういいました。
「思い込む」という事は何よりも「恐ろしい」ことだ。
私の記憶が確かならば、丈助との戦いの中で言った言葉です。
物に触れたら爆発するという性質、と思い込んでいた丈助を陥れる時に使った台詞です。
意味はそのままで、確かにその通り。
足元をすくわれる原因は、いつだって自分の思い込みです。

ヒートンとは何か知っているでしょうか。
なにかのアプリの名前にも聞こえますし、ポケモンの名前のような気もします。
「先輩、ヒートン取って」などと使います。物です。
わかりませんが「引っ掛けるネジ」とかで呼ばれてるかもしれません。
木ネジなんだけど、回すのにドライバーは要らなくて、はてなマークの形をしているネジのことです。金色のイメージ。
掃除用具のほうきとかかけるためのやつ。
厳密に言うと、さきっちょの曲がってるところが閉じてるか閉じてないかでまた名前が違うらしいですが、まああれをヒートンといいます。
なんか、イメージと名前にギャップがあります。
といっても、これは別に思い込むほどのことではありません。

大した知識じゃないですが何故私がこいつの名前を知っているかというと、美術部だったからです。
絵などを壁にかける時など結構使います。
「先輩、ヒートン取って」と言われたのも、なんかの展覧会の手伝いの時です。
自分たちの展覧会ではありませんが、部員全員で手伝いました。
15人くらいいたかな、美術部は。私の学年は2人だけだったのですが、新入生が入ってきたとき何が起きたのか、ガツンと入ってきました。
全員女子。男子は私一人だけです。
今思うと夢のような環境ですが、渦中にいると別段何も感じませんし、べらべらしゃべるタイプでもないので、あまり接触はありませんでした。
ぶさいくちびめがねであきらめもついていましたし。
もてるわけがないと思い込んでいました。

「先輩、テグス取って」と言われます。
年上でしたけど、まあわりと顎で使われてたのかもしれません。
テグスというのは釣り糸の事です。ナイロン?でしょうか透明なやつ。
これも意外な名前です。
美術館で「テグス取って」と言われるときは比ゆ表現で、実際は天井からぶら下がってる頑丈なスチールのワイヤーです。
ヒートンに引っ掛けるから私のところまで近づけろ、という意味です。
ちなみに「てぐすねを引く」という言葉がありますが、このてぐすねはテグスとは違います。
私は最近まで「テグス根を引く」だと思い込んでいました。
裏で糸を引く、というような意味合いでしっくりきます。
でもこれは間違いです。
漢字で書くと「手薬煉」。松脂を煮詰めたワックスみたいなものの事だそうです。
弓の糸に塗ると強度が上がるとか。
そのように、来るべき状況に対して万全の体制を取っておく、という意味が本当でした。
手薬煉を引くに悪巧み的な意味はありません。

「先輩、カッター取って」と言われました。
カッターは皆さんが知ってるカッターです。収納型の刃を有した紙などを切る道具です。
しかしこの指令が私を一番混乱させました。
なぜならカッターが見当たらないからです。
後輩は肩幅より大きい額縁を持っていたので、持っていたというか扱っていたので両手がふさがっています。
それで頼んだのだと思いますが、見当たりません。
きょとんとしていると「先輩、ポケットから取ってください」と言われました。
ポケットは皆さんの知っているポケットです。衣服に用意された簡易的な収納スペースです。
どうやら、私のポケットにカッターが入っていて手が離せないから取り出してくれ、という意味のようです。
それでも混乱ですよ。
女子の制服にはポケットが三つついています。
左の胸ポケットが一つ。
それから、わき腹というか、肝臓の辺りにあるポケットが左右に一つずつで、二つ。
当然、肝臓のポケットだと思って取ろうとしたらありません。
女子に近づけると思ってドキドキしたら無いのでがっかりしました。
見た目でないとすぐ分かります。
なぜなら肝臓のポケットは小さいからです。
あれは何のためについているのか分かりませんが、ポケットティッシュを入れれば半分顔を出す。ハンカチを入れればベロンと垂れる。
やる気の無いポケットです。
職務怠慢。
カッターを入れれば頭が出ますので、それがないと言う事はポケットにカッターは入ってません。
意味を取り違えたと思ってキョトンとしていると、せかすようなジェスチャーをします。
!!?まさか胸ポケットか。
たしかに、胸ポケットは深いのでカッターが入っていても外からは見えません。
いやしかし、それはそれでひょいと取れません。
若干のまさぐりが必要です。
胸ポケットはタイトに出来ていますので、細心の注意を払っても、ね、ほら。
私にそういう考えが無くても、不可抗力でさ、ね。
まあぁ、でもぉ、どうしてもっていうなら、手が離せないならしょうがないし、一環よ?作業の一環として取るよ。
よし!!取ろう。
いやーーーーーー。まてーーーー。あぶねーーーーーー。
さっき自分で言っただろう、胸ポケットはタイトに出来ている。
カッターの無骨なシルエットが出ていないではないか。
とどまりました。
このまま手を伸ばしていたら、その大きな額縁でぶん殴られていたかもしれません。
血まみれで右手を伸ばしている学生服を着た男という訳の分からない芸術として美術館に飾られてしまったかも知れません。
表題「まさぐる男」

とにかくセーフ。
私がいぶかしげな顔をしていると女子は腰骨の辺りを私に向かってクイクイしました。
肝臓のポケットをアピールしています。
いや、だからそこにはないのよ。物理法則を変えないとそこにははいらないの。
ん?ああ、この方向の先か。顎じゃなくて腰で使いはじめたか、先輩を。
と思って、振り返ってみても壁しかない。
何もない。
え。まじで。
さっきから怖くて口には出さなかったが、まさか、そんなことがあるのか。
スカートにポケット。
スカートにポケットがついているのか?
第4の刺客。
脳内のデータベースをフル回転しました。
いままで、一度も女子がスカートのポケットに手を突っ込んでいる所を見たことが無い。
男子はあります。上着のポケットにも突っ込むし、ズボンのポケットにも突っ込みます。
女子は上着のポケットに手をかけてるところは見たことあるけど、スカートは無いよ。
これを読んでいる女性は何を言っているか分からないかもしれませんが、大体の男子はスカートにポケットがついているなどという発想がありません。私だけかもしれませんが。
何をバカな事を考えたのか私は、スカートにポケットなどついているわけが無い。
そう結論付けようとした直前。記憶。
いやーーーー。たしか、スケバン刑事が手を突っ込んでたような気がする。
私、多分スケバン刑事のドラマ自体見たことないのですが、ヨーヨーは持ってたのですよ。
ハイパーヨーヨー以前で、アメリカンクラッカー便乗ヨーヨー以後の第二次ヨーヨーブームですよ。
スケバン刑事のヨーヨーの最大の特徴は紐が鎖であるという事。金属チェーン。
これがバカにできないのですよ。布素材の紐と違って、弾力が無いので、戻りの勢いが桁違い。
ジンジン来ます。
ヨーヨー本体も横のところがパカっとあいて旭日章(きょくじつしょう)が出てくるギミックがついています。
警察のマーク。一応デカですから。
要するに重い。
3回も上げ下げするとチェーンを巻きつけている中指が内出血しそうになります。
手のひらは赤くなり中指には鎖の模様が刻まれます。
こんな曲者を武器として使うとはスケバン、やるな。
いやーーーーーまて、あいつら専用の手袋みたいなのしてたじゃん。
ボーリングのプロが付けるやつみたいなの。ずりーよ。
そんな事は今どうでもいい!!
論点はスケバンはポケットに手を突っ込んでいるか。
思い出せねー。
いや、いやいや、まてまて、思い出す必要は無い。
理詰めでいける。
今回に限り、ノンメモリーOK。
だって、スケバンの肝臓ポケットだって、小さいよー。
仮に入るサイズだとしても、膨らむだろ。ドラマは膨らんでない。あそこに入れてる様子は無い。
有事の際にのみヨーヨー取り出し。隠せるところと言ったら?
スカートのポケットしかねーだろうーよーー。
折鶴の奴もいたし。
あれ全部スカートのポケットに隠してたんだ。暗器収納庫。

繋がった。
目の前には腰を私の方に突き出した女子が一人。
よし、分かった。取ろう。
いやいやいやいや。いやいや。そーはならんでしょ。
胸ポケットよりハードルたけーよ。
ないよ。そんな気前のよい女子はいないよ。
うーん。でも。
この子、ボーイッシュな所があって、あまりそういうの気にしないというか、カラッとしてる性格だし。
私も、あまりしゃべらないといっても、気さくな先輩という印象を与えることに成功はしている。
ボーイッシュx気さく=友達感覚
だろ。
数学だけは得意でした。
友達感覚なら問題ない。
もう、お互いの同意があるわけだし、頼まれてるわけだし、部活動の一環だし、友達間隔だし、むしろ取らないほうが不自然。
もう俺は正義の心を持って手を伸ばす。
よし!!。
!!?
あれ、あれれ、どこでしょう。
いや、まだ手は伸ばしてません。
制服のスカートがヒラヒラのやつなのですが、そのどこの折り目にポケットの入り口があるか分かりません。
アコーディオンのジャバラみたいなギザギザスカート。
その折り目のどこかの谷間に縦割りで入り口があるのでしょう。
しかし、今さっきポケットの存在を知った初心者ですから、そんな何番目の折り目でどのくらいの切り口なのかも分かりません。
オーロラの番人が私の行く手を阻みます。
これを一発で決めないとかっこ悪い。
それこそ、えづらだけ見たら、わいせつ罪。
といっても、その頃の私は麻雀で負けなしの、スナイパー。
相手の待ちはヤミテンでも一点読みできるくらいの考察力を持っていたので、問題ありません。
十中八九、体から見て真横。
無くても、2番目の折り目と見た。
Z軸の高さは男子のそれと同じ位置。
仮に緒太刀をはずしても、親指を少し広めにとって切り替えし可能なピボットを作っておく。
弾幕薄いぜオーロラの番人さんよー。
さて。いくか。

いやーーーーーー。まてーーーー。あぶねーーーーーー。
あらゆる可能性を考慮しろ。
もし、ポケットが無かったら。
今までのが全て私の妄想だったらどうする。
ひょっとしたらこの後輩女子は「先輩のポケットからカッター出してください」という意味で言ったのかもしれない。
もちろん私はカッターを持っていない。
でもなんかの勘違いで、私が持っていると思い込んでいて、例えばズボンのポケットに入っていると思っていて「先輩のズボンのポケットに入ってますよ」という意味で腰をクイクイやったのかもしれない。
そんな状態で、スカートの上からといえども太ももをまさぐったとなったら、胸ポケットの比ではありません。
気さくな先輩像が吹っ飛びます。
私の築き上げた気さくが崩れ落ちます。
それどころか表題を「まさぐる男」から「肉塊」に変えなければいけなくなるかもしれません。
一応全ての可能性をつぶしておこう。
自分のズボンのポケットに手を突っ込みました。
空っぽ。一人ボディーチェックをしてどこにもない。
私は持っていません。危険物を所持していません。
「スカートのポケットですよ」
ああ。
あああ。
やっぱりかー。
そうかー。今言ったね。口に出してはっきりと具体的に言ったね。
もう迷いは無い。
無心で行こう。
自分のポケットから手を出して、一歩前に近づいた所で、隣で聞いていた別の女子がひょいとカッターを抜き取りました。
「サンキュー」なんつって。
流石、女子、スカートのポケット慣れしてるね。

いや、私はそこで腰が抜けなかっただけ、がんばったと思いますよ。
もう一生スカートのポケットに手を突っ込むチャンスは無いと思います。
私が「スカートにポケットなどある分けない」と思い込んでいた事により、コンマ数秒行動にためらいが生じました。
思い込みはチャンスをつぶすのです。
「思い込む」という事は何よりも「恐ろしい」事です。

スカートのポケットには魔物が住んでいる。
否、刃は付いていた。

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